ある日、お客様からお電話を頂きました。
「エアコンの効きが悪いのよ。故障じゃないかしら。一度見に来てくださる?」
このお客様は飲食店を経営しており、店舗のほうのエアコン取付を私どもでさせて頂きました。しかし、「家のエアコンは、 何でもいいのよ」 ということで量販店から購入したのでした。
そう言いながらも、この方は「せっかく買うなら最新の省エネエアコンがいいわね」とその時の最新エアコンを購入しました。
ですが、思ったより部屋が冷えなかったのです。当初は、「省エネ機種だから効きが悪いのはしょうがないのかな」と考えていたのですが、しばらく使っているうちに思ったより電気代も安くなっていないことに気が付いたそうです。
そこで購入をした店に点検に来てもらえるよう依頼をしたのですが、ちょうど繁忙期であったこともありなかなか点検に来てもらえず、私どもに連絡をしてきました。
さっそく訪問し、点検をしたところ大きな問題が2つありました。おそらくエアコン本体そのもの故障ではなく、この2つの問題が原因であることは、私の経験上から推測がついたのです。
その問題点とは・・・
一般的に誰もができるだけ室外機を見えないところに設置するよう希望します。そこで、販売店のほうでも、できるだけその希望に沿ってエアコンから室外機までの配管長を長く取ることがよくあります。しかし、その長さがメーカーの指定する許容配管長以内であるといっても、エアコンの効率という面から考えると、配管の長さはできるだけ短い方が良いのです。
特に最近流行りの省エネエアコンには、この配管長というものが大変重要になってきます。メーカーは一定条件を満たした施工の元での省エネを保証していますが、その中で一番重要視されているのが冷房効率なのです。ですから、配管を許容配管長以内にすれば、冷房効率上は最大の効果を発揮します。しかし、省エネエアコンの売りである省エネ効率の面では最大の効果が発揮されないことがよくあるのです。
この長すぎる配管長が原因の一つであることはまず間違いありませんでした。
また、エアコンが本来の性能は発揮することを妨げる要因は、前述の配管長以外にもう一つあります。それは配管のつぶれです。配管がつぶれていると、急に配管の太さが狭くなりますので、その中をガスが通ろうすると余計な力がかかります。そうすると、冷却ガスがスムーズに流れず冷却効率を下げるのです。
ですから、冷却効率を下げないためには配管の曲げはできるだけ少ないほうが良いのです。しかし、実際には最低2〜3箇所の曲げは必要になります。問題はその曲げ方なのです。量販店はコストの面から、配管を手で曲げます。しかし、試しにストローを手で曲げみてください。どんなに丁寧に曲げても、曲がっている部分がつぶれてしまいます。これは極端な例ですが、エアコンの配管にも同じことが言えるのです。
先ほども言いましたように配管がつぶれていると、そこに余計な力がかかり効率が落ちます。当然ですが、配管の曲げが多いと余計な力が掛かる部分が増えて効率がおちます。
また、古い配管が壁の中に入っていることがあります。これは隠蔽配管と言われるものです。これを量販店の下請け業者は、お客様に何も告げずに工事をすることがよくあります。もともと付いていたエアコンが古い機種であるほど配管が太く、新しくつける最新機種ほど配管は細くなっています。
それにもかかわらず、単に太い配管と細い配管を簡単に繋いでお仕舞いにしてしまうところがあります。配管の太さが途中で変わると、これも冷却ガスの流れの妨げになり、冷えが悪いことの原因になります。それは当然電気代金にも影響します。
このように配管の長さとつぶれが、この客様のエアコンの能力低下の原因であることは一目見て見当がつきました。室外機の設置場所の変更や配管の新たな取付についてお客様のご了承を得て、私どもで改めて設置をしなおしました。その後数ヶ月経ち何度か連絡を入れましたが、何も問題は起きていません。このお客様にとっては、取付費用が二重に必要となってしまいましたが、現在エアコンが100%の性能を発揮していることに大変満足なさっています。 |